この記事では、水糸を張る作業をする時の、糸を釘に結ぶ方法、サクサク張るためのちょっとしたコツ、時短テクニックなどを、僕の知っている範囲でまとめてみました。
外構工事の現場では、実際どうやって水糸張りの作業しているのかという情報を、なるべく分かりやすく提供したいと思い、書いています。
ですので、もしこの記事を読んで分かりにくかった部分があれば、より分かりやすく改善したいと思っていますので、ご意見お待ちしています(^^)/
ではさっそくいってみましょう!目指せ水糸マスター!!
勢いは大事ですw
釘を使って水糸を張る2種類の方法
はい、僕ら外構職人が一番得意なやつです!(笑)
この方法は、コンクリートや、ブロック、アスファルト、木材、その他釘が打てるあらゆる場面で応用ができる、めちゃくちゃ汎用性の高い方法です。
…なので、水糸の張り方を覚えたい方は、まず最初に釘を使った方法を習得することをお勧めします。
実際、外構工事の現場では、ほとんどの場面で釘を使って水糸を張っています。外構工事以外の仕事では、例えば鉄骨工事などの場合は、鉄の柱にテープで留めたり、内装工事であれば、相手が木材や石膏ボードなら軽子(カルコ)を使うこともあるかもしれませんね。
だけど僕は外構屋なので、僕の得意分野の【釘】で攻めてみますw
張り方は、基本的に釘に直接水糸を結びつける方法と、輪っかを作って、釘に引っ掛ける方法、この2種類が一般的に現場でよく使われている方法だと思います。
それぞれに適した場面があるので、一緒に見ていきましょう。
まずは、見た目にも分かりやすい、輪っか式です。
これはあえて説明するまでもなく、一目瞭然で分かりますよねw 糸の末端に輪っかを作って、釘のアタマに引っ掛けるだけです。
以下に、僕が作業中に輪っかを作っている方法を1枚の画像に編集しました。
この方法は手袋を脱がなくても確実にできる結び方なので、覚えたい方はぜひ画像を保存して、必要な時にお役立てください♪
作業中はほとんど手袋を付けたままなので、水糸を結ぶたびに手袋を外すのが面倒くさすぎてこの方法を開発しました(笑) もっといい方法もあるかも知れませんが、今のところこの方法がストレスなく確実に結べるので、これでやっています。
ちなみに、僕は普段ショウワの「組み立てグリップ」という薄手のゴム手袋で作業しているのですが、もしかしたら軍手ではやりにくいかも知れません^^;
↑マスターしたい方は遠慮なく保存どうぞw(お粗末な手で申し訳ありませんw)
なんで手袋付けたままできる結び方なのに、素手でやってんだって?? だって、iPhoneちっさい三脚でセルフタイマーで一人で撮影してたから、手袋間に合わないんですもん。
1枚撮る度に手袋付けたり外したりは面倒でしょ?(笑)←こんな撮影を現場の片隅でコッソリやってる姿を想像するとシュールでしょw 大丈夫です、人目の付かないところでやってますから。w
輪っか式の特徴
さて、輪っか式の特徴ですが、釘に結びつけないので、釘の位置さえ変わらなければ何度でも簡単に張ったり外したり、掛け直しがし放題なところです。
たとえば、人が横切る通路の空中に張る場合など、張りっぱなしだと邪魔になってしまう時などは、この輪っか式がベストですね。
外構工事の例では、土の高さを盛ったり削ったりしながら目標の高さにキメていく、「すき取り」作業などでは、この「輪っか式」をよく使います。
続いて、外構屋の真骨頂、釘に糸を直接結びつける方法です
これは『巻き結び』という結び方で釘に直接糸を結ぶ方法です。
ロープワークが得意な人は知ってるかもしれませんね。
僕は、この仕事に就く前にロープを多用する仕事をしていた事があったので(亀甲縛りとかそういうのじゃないです、残念!)、巻き結びは知っていたのですが、こんな小さい釘に、しかもこんな細い糸でもロープの場合と同じようにできるなんて初めて知ったときは、そりゃーたまげたもんですよ。
巻結びの特徴
さて、まじめな話、巻き結びのもつ特徴的な機能は、しっかりと結び目が絞れていれば、片側だけ引っ張っても結び目がより締まるのでズレない、ということです。
この特徴が最大に効果を発揮するのが、釘に対して縦方向に糸を張ることができるという事です。これだけ単純な結びで、これが可能なのは巻き結び意外に無いと思います。
この特徴はロープの巻き結びの場合と一緒ですね。結び方がとてもシンプルなので簡単に結べて、必要な時には効いて、ほどきたい時に簡単にほどくことが出来る。しかも強いテンションが掛った後でも比較的簡単に解けるという、とても優秀な結びなんです。
その便利さと言ったら、特定の職種の方などはおそらくこの結びが存在しなかったら成立していないかも知れない、と言えるほどです。←それは誇張して言い過ぎかもしれませんが、それだけ優れた結びだと私は言いたい(笑)ノー巻き結び、ノーライフですよ。はい、話が長くてすいません。
では結び方を見ていきましょう。
手順①の前に、使う釘を1本だけ口にくわえておくと、より職人っぽい雰囲気が出るのでお勧めです。(実際に両手を使って結ぶので、さっと取れるところに用意しておく必要があるので意味はありますw)
あ、ちなみに口にくわえると言っても、舐めまわしてよだれだらけになるわけじゃなく、唇の間に挟む程度なので不潔とか言わないようにw
フケツ
言うなー!
元々、後で編集して1枚の画像にするつもりで撮影したんですが、この画像だけじゃ表現しきれなかった部分があります。。①の輪っかを2重にしてつまんでいる、輪っかの向きと重ねる順番があるんですが、水糸では細すぎて分かりにくいので、その部分だけ別画像で用意しました。
ツッコミどころのある画像だという事は自覚してますが、手ごろなものがこれしかなかったのでご容赦ください(笑) ちなみに、USBの部分が糸の末端と思ってくださいw
結び目を作る方法は、先に左手側の輪っかを作り、次に右手側の輪っかを作ります。輪っかの向き(ねじれの向き)は同じなので、同じ動きを2回繰り返す感じです。ただ、重なる順番が、2回目に作った輪っかを最初の輪の上に置く、というところがポイントになるかな?
まぁ最終的にこの形になればOKなので、覚え方は自由ですが、手の動きを大げさに、流れで覚えるようにすると記憶に定着しやすいと思います。
人は新しいことを覚えるのに、7回~25回繰り返すと覚える事が出来る、という記憶に関する研究結果もあるようなので、自分なりの動きが決まったら、少なくとも7回はやってみてください。
この結び方も、普段僕が手袋を外さすにやっている方法ですので、指の使い方や向きなど、初めはこの画像のとおりに覚えて、何度も繰り返してマスターしてください。
手順⑤番目の、結び目を釘の先端に寄せる意味ですが、これは打ち込んだ釘に対して垂直方向に糸を張る場合に効果を発揮します。
コンクリ釘は浅く打つ!
コンクリートやブロックに水糸を張る目的で釘を打ち込む場合は、深く打ち込む必要はなく、ちょこっと効けばOKです。熟練になるほど、「それで大丈夫?」というほど浅くしか打ち込みません。(慣れるとハンマーで打った感触で、釘が効いたか分かるようになります)
刺さっている部分は大体手順⑤の先端くらいと考えてOKなくらいです。 浅く打つ理由は、『母材を極力キズつけないため』です。
また、モルタルやブロックの場合はどこに打っても同じように効きますが、コンクリートの場合は打ちたい位置にちょうど石があってどうしても刺さらないことがあります。
その場合は位置を少しズラすか、どうしてもズラせない場合は、貫板などの木材を仮に打ち付けて、その木材に水糸を張るための釘を打つという方法もあります。
横向きに(釘に対して直角方向)糸を張る場合は、あらかじめここまで先端に結び目を寄せなくても、釘を打ち込んだ後でも結び目をズラす事ができます。
釘の根元に糸を寄せる理由は2つあります。
ひとつは、根元から離れるほど、糸にテンションを掛けた時に「てこの原理」で釘が倒れる方向に力が掛かるからです。 木材の場合はしっかり打ち込めるのでそれほど気にしなくても大丈夫ですが、浅くしか打ち込まないコンクリート釘の場合は、水糸が根元に寄っていないと簡単にポロっと抜ける場合があるからです。
二つ目の理由は、根元に寄っているほうが糸を張る位置の精度が合っているか、見た目で確認しやすいからです。
釘の種類と選び方
これが僕が普段から工具箱に持ち歩いている釘です。サイズ感がわかるようにあえて手を一緒に写していますが、手のひらの落書きは一切関係ありませんのでスルーでお願いしますw(手袋汚くてごめんなさい)あ、カルコと画鋲は木に刺す物です。
ちなみにブロック屋の僕はコンクリートやブロックに打つことが一番多いので、ほとんどの場合コンクリート釘を使っています。
その中で、個人的に一番使い勝手が良いと思うサイズが38ミリのコンクリート釘です。ひとつ下の25ミリでは短すぎて打つ時に持ちづらく、ひとつ上の50ミリだと、硬いところに当たったときに曲がりやすいからというのがその理由です。
水糸の太さはどう選ぶ?
ホームセンターや、工具専門店など、で売っているロールタイプの水糸って、普通は、(細)500m巻きと、(太)270m巻きの2種類は置いてると思うんですが、どちらが良いかと言えば、案外好みの問題かもしれませんw
(極太)120m巻きというのもあるようですが、自分は使った事がありません。
上の画像は、38㎜のコンクリ釘に細い水糸と太い水糸を、比較用に巻き結びで結んでみた状態です。
以下にそれぞれの特性をちょこっと書いてみました。
(太)タイプ
・細いタイプに比べて視認性がだいぶ良い。気づかず足を引っ掛ける、みたいな事がかなり減る
・細いタイプに比べて重さがあるので、かなりテンションをかけないと垂れる。その代わり、テンションに耐えるだけの強度もある。
・手では切れない。カッターが無い場合はハンマーのはつり部で叩き切るか、角にこすりつけて切断はできる。
(細)タイプ
・視認性は太いのに比べれば低め。知らないと見えなくてつまづく可能性大。
・軽いので垂れにくい。少しのテンションで垂れずにピンと張ることができる。
・手袋してれば手で簡単に切れる。
・1巻のm数が多いので、使っても使っても減らない。
水糸(細)は手でぶっちぎれ
いや、カッターを持ってないわけじゃなくて、水糸と一緒に、腰袋に必ず持ち歩いてはいるんですが、
細い水糸に限っては、(手袋さえしていれば)道具不要でぶちっと簡単に切れるので、僕は毎回そうしてるだけです。
1回切る度に、『カッター出してしまう分だけの時間』を短縮できるので。
ただし、素手だと痛いので、手袋ない時はやらないでください。
…手袋、穴空いてますね・・・恥ずかしーw
あ、そうだ、水糸を手で切る時の注意点がもう一つ。必ずロールを持っている側の指2本ないし3本に巻き付けてからブチッとやってください。これは、滑り防止の意味だけではなく、ロールから直接ブチっとやると、糸が巻いてある部分にめちゃくちゃ深く食い込んでしまい、台無しになるからですw
いろいろ試した結果、3回指に巻き付ければ、切断時のテンションがロールにまで影響が及ばないことがわかりました。だから3回巻く必要がある訳です。
ちなみに僕は、離れた場所に何か所も水糸を張るような現場も多いので、1張りごとに躊躇なくぶちぶち切って使える、細い水糸派です。なにせ500m巻きなので、使っても使っても減りません(笑) 毎日使うのに、1巻で数か月持ちます。水糸は節約するために余計な手間を掛けるほどの金額ではないので、切った方が早ければ迷わず切って使いましょう。
カルコタイプの使用場所
上の方のいろんな釘が出ている写真で、気になってた人も多いと思います。カルコと呼ばれる、手で抜き差しできる針みたいなのがあるんですが、それはこんな場面で使います。
・作業の進捗とともに、糸を張る位置が何度も変わる場合。
ブロック積みの場合はこんな風に、端っこのブロックに木の定規が付けられる場合は、そこに
2段目、3段目と、積む高さの基準の線を最初に書き込んでセットし、その段が積み終わったらカルコを1段上げて刺し直す。みたいな使い方をします。
ちなみにこの写真はカルコではなく、画鋲みたいなのを使ってますね(笑)ばれましたかw いや、ぼくも初めはカルコを使っていたんですけど、ブロック用の丁張とか、積み終わるまでバラさないような場所に自分のカルコを刺したまま、次の日から別の現場を割り当てられたりするので、そのたびに減っていくんですよw
カルコも安い訳じゃないので、大量に買うのもなんだか躊躇してたところ…そうだ、画鋲でいいやw みたいな思考回路ですw で、使い勝手はというと、カルコと比べても遜色なし。
ただ、安いからってみんな大事にしてくれませんw なので、あきらめてちょっとずつ減る前提で、多めに持ち歩いてます(笑)持ち歩くにはカルコよりかなりコンパクトでかさ張りませんからね!
あとは、いろんなカラーの画鋲があるので、共通ルールみたいなのを決めておけば、その画鋲が何の基準を表す糸を張っているのかが説明不要になる、みたいな使い方も出来そうですね。
めちゃくちゃ長くなってしまったので、この記事はいったんここで終わります。
実際に水糸を張った色々なパターンについて、改めてまたの機会にまとめてみたいと思います。
最後にすぐやってみたくなった方のためにAmazonリンク貼っておきまーす。
ちなみに水糸は1巻き300円前後が相場…手で切れるのは0.5ミリのやつ…(ボソッ)
アルミ製のフィンガースプールと言う、ほんとはスキューバダイビング用品の、海の中で迷子にならないための糸を巻くやつなんだけど、これがめちゃくちゃ良い。Amazonで1500円くらいで買ったんだけど、ちょっとカッコいいし気に入ってます。
水糸ってさー、使い切る前に誰かが踏んづけたりして、まだたくさん残ってるのに、側が割れて台無しになりません??(笑)そんな日常の小さなイライラを解消します!
コメント
新人の土木施工管理です。とても参考になりました!ありがとうございます(人´∀`*)
りーさんさん
コメントありがとうございます^ ^お役に立てて幸いです!
勉強になりました!
>>3
お役に立てたようで、よかったです☺️今後も役立つ記事を更新していきたいとおもいます!