騒音作業をする方に伝えたい“たった一つのこと”

若い頃、母は私に言いました。「一つしかない身体、一生使うんだから、大切にしなさい」

10代の頃の話です

当時、父親の手伝いでスプレー缶で塗装作業をしていた私に、母は言いました。「スプレー塗装をするときは絶対にマスクをして!」 僕の体の健康を心配しているからこそ、出てくる言葉でした。

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そのころの僕は、毎回毎回わかったから、もう。ちゃんとするよ(めんどくさいなぁ)みたいな感じで、あまり重要視していませんでした。
後に、別な仕事で、大きな騒音のする解体工事などをする仕事をしていた時期もありました。その頃、毎年受けていた健康診断で、聴力検査の数値が年々落ちていくのを目の当たりにして、これはヤバイ!と焦りました。25〜26の頃だったと思います。
最初は計測の誤差と思っていたのですが、毎年少しづつ、確実に落ちていきました。
そのことをきっかけに僕は、自分の耳を守るために騒音の出る作業をするときは必ずイヤーマフをするようになりました。
エンジンの機械、サンダー、斫り作業、コアドリルetc…慣れてしまえばイヤーマフは快適です。
イヤーマフをしないで騒音に晒されると逆にストレスに感じるくらいになります。(それくらい、大きな騒音は本来人間にとってはストレスなこと)
大きな騒音の環境下に慢性的に長期間晒されることにより、数年間かけて徐々に進行するのが騒音性難聴です。

知らず知らず、耳へのダメージが蓄積しています

騒音性難聴はすぐに症状が出ないので軽視されがちで、みんな「自分は大丈夫」「あんまり煩かったらします」くらいに思っています。なので、ほとんどの人はノーガードで騒音によるダメージを知らず知らず受け続けてしまいます。そして聴力が落ちるのは数年後です。

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しかも、恐ろしいのは、ほんの少しづつしか聴力は落ちないので、毎年の健康診断の数字を気にしてチェックしている人でなければ気づくこともないと思います。

さらに厄介なのは、聴力は一度落ちたら二度と回復しないと言うこと。歳をとってから耳が悪くなるのはある程度仕方ないことですが、若い頃、無自覚に受けてしまったダメージのせいで、早くから聴力が落ちてしまうことは悲しいことです。
若い頃にはまだそういうダメージを受けた経験が無いので、なかなかその重要さがわからないのですが、どうか自分の体は自分で大事にして欲しいです。
自分のバイクや車をピカピカにして、長く使えるようにメンテナンスをするように、それと同じくらい、自分の体も長く使えるように傷がつかないように保護して欲しいです。

あなたの愛車よりも、長く乗り続けるのがあなたの身体です。

これは僕の偏見ですが、バランスの良い肉体労働の仕事は、「健康寿命」という観点から見れば、長時間椅子に座り続ける仕事と比べて、肉体的な健康を保ちやすい職業だと思っています。(過度な暴飲暴食を続けてしまったり、お酒やタバコへ依存してしまうのはダメですが。)
あと必要なのは、目や耳、呼吸器など、自分の臓器を自分で守ること。毎回マジメにに手袋や保護具を装備していたら、もしかしたら周りの若い人に「あいつ神経質だな」とか「まじめぶっちゃって」とか思われるかも知れません。
でも10年後、20年後、30年後に後悔しては遅いのです。保護具をつけないワイルドな友達はあなたの老後の保証をしてくれません。「あのときマスクをちゃんとしておけばよかった😭」「ちゃんとイヤーマフしておけばよかった」「手袋さえつけておけば…」
どうか一生使うこの体を大事にしてください。先輩たちの失敗や経験を最大限に生かして、若い人たちには僕たちより遠くに行って欲しいのです。
少し聴力の悪くなってしまって、ちょっと悲しいほろさんより。

保護具を疎かにした代償

ちなみに、ちょっと怖いことを言うようですが、イヤーマフをしなかったことによる代償は「孤独死」だと思ってください。
大袈裟に聞こえるかもですが、そうでもありません。少し耳が悪くなってしまった僕が本当にそう感じているからです。
耳が悪くなった老人、話しかけても何度も聞き返される。何度も聞き返されるので、何度も同じことを大きな声で言わなければならない。かなりダルい。そのうちめんどくさいので話しかけられなくなり、孤立していく。(ちなみに私は既に孤立気味w)
これ、大袈裟ではなく経験から言ってます。私の父が結構なレベルで耳が遠いのですが、聴力が落ちるとコミュニケーションの回数があからさまに減ります。(その上補聴器をつけたがらないので余計に)家族からも話しかけられる回数が大幅に減り、家庭内なのに、孤立したような状態です。
老後に孤立していくのは辛いです。
いや、本当に洒落にならんですよ。聴力が落ちるのはかなり辛い。しかも自分だけじゃなくて周りも辛い。コミュニケーションにモロ支障が出てしまう感覚器官なので。
人生100年時代とかいうし、歳をとっても全力で楽しみたいですよね。人間、幾つになっても遊びは必要って言いますし。

再生医療がもっと発達して、落ちた聴力が遜色ないレベルに回復できる未来も近いかもしれません。

ですが両親から授かった、たった一つの身体です。防具で守れる部分はできるだけ自分で守って、長持ちさせて最後まで上手に使いましょう😌

健康を損ねると、お金もめっちゃかかりますからね。あなたの大切な人に将来迷惑をかけないためにも。
長い文章、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
この記事をきっかけに、騒音作業によって知らず知らず聴力を落としてしまう人が少しでも減ってくれたら嬉しいなぁ。もしこの投稿に共感してくれたら、イイねやシェアしていただけたら嬉しいです。
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